福岡市中心部で、オフィスビルの開発が活発になっている。オフィス仲介会社の三鬼商事福岡支店によると、2008年から2009年にかけて、主要オフィスエリアで総延べ床面積約24万m2に及ぶ新築ビルの完成が予定されている。これは、同エリアのオフィスストックの約1割に相当する規模だ。

 これらのオフィスビルは、既存のオフィス街である天神・大名地区、博多駅前地区などから少し離れたエリアに計画されているものが多い。渡辺通から薬院地区にかけての大通り沿いや地下鉄祗園町駅周辺などで、複数の開発計画が進んでいる。

 渡辺通沿いでは、中央三井信託銀行系のアセットマネジメント会社であるアルファ・トラスト・リアルティ・アドバイザーズとデベロッパーのレアルシエルトのSPCが2007年4月、土地1604m2を推定30億円台前半で取得した。地上10階建て、延べ床面積9840m2の事務所・店舗ビルを建設する。

 薬院1丁目のレナウン倉庫跡地では、マッコーリー・グローバル・プロパティ・アドバイザーズが地上8階建て、賃貸可能床面積8480m2のオフィスビルの建設を進めている。2006年12月にりんかい日産建設が土地をレナウンから取得し、2007年3月にマッコーリーに売却した。ビルの完成は2008年3月の予定だ。

 これらのほか、東京建物や野村不動産、三井不動産などが相次いで、延べ床面積2万m2を超えるオフィスビルを建設する計画を明らかにしている。不動産関係者からは供給過剰を懸念する声も聞かれるが、新築オフィスの需要は強いとみる意見が多い。「福岡中心部のビルは老朽化したものが多く、新築のオフィスには競争力がある。立地条件の割に賃料設定が高いので完成時には満室にならないかもしれないが、安定した収益を見込める」という意見が過半を占めている。

(詳しい記事を11月20日発行の「日経不動産マーケット情報」12月号に掲載しています)