不動産ファンド運営大手のパシフィックホールディングスは2008年12月19日、中国系企業から調達を予定している約477億円の資金のうち、約6億5000万円を受け取った。

 今回の増資は、パシフィックが11月26日に発表した資金調達計画の一部だ。同社は、中柏(ちゅうはく)ジャパン(本社:千代田区)を引受先として、普通株28万6000株を1株あたり2288円で発行した。中柏ジャパンは議決権付き株式の29%を保有する筆頭株主となり、パシフィックの高塚優社長の持株比率は第2位の約19%に後退する。パシフィックは、今回調達した資金を工事代金の支払いに充てる。

 パシフィックは2008年12月26日に270億円の社債発行、2009年2月27日に約470億円の優先株発行を予定している。ただし、中柏ジャパンが引き受ける社債は優先株取得の代金として現物出資されるため、2月にパシフィックが調達する資金は差し引き約200億円となる。

 パシフィックは日本レジデンシャル投資法人、日本コマーシャル投資法人を傘下に置くファンド運用会社だ。これらのREIT(不動産投資信託)と私募ファンド、自己勘定の不動産と合わせた2008年11月期末の運用資産残高は8535億円で、不動産ファンド運用会社としてはダヴィンチホールディングスに次ぐ国内第2位。融資の調達難を受けて、2008年第4四半期(9~11月)には自己勘定で所有してきた不動産のうち21物件、440億円相当を売却した。

 中柏ジャパンは、企業再生やM&Aコンサルティングを手がける経営共創基盤(本社:千代田区)が設立した。経営共創基盤は、ボストンコンサルティンググループを経て産業再生機構の専務を務めた冨山和彦氏が2007年4月に設立した会社だ。ぴあや福島交通、製造業向けソフト会社のネクステックのスポンサーを務めている。