明豊エンタープライズは9月26日、事業再生ADR(裁判外紛争解決)を申請した。保有不動産の評価損がかさんだことなどから、同日発表した2011年7月期決算で約14億円の債務超過に陥ったため。

 事業再生ADRは私的整理手続きの一つで、弁護士などで構成する事業再生実務家協会(JATP)が窓口となっている。明豊の申請は同日付でJATPに受理されており、今後は同協会の監督の下で債務免除の交渉やスポンサー選定を行う予定だ。当面の資金繰りについては、「特段の問題を生じない見込み」という。なお、マンション管理子会社の明豊プロパティーズは事業再生ADRの対象としていない。

 明豊は1968年設立のマンションデベロッパーで、2004年にJASDAQ市場に上場した。外断熱(そとだんねつ)工法を特徴とする「シェルゼ」シリーズのマンションを開発している。2006年7月には賃貸住宅を運用資産とするREIT(不動産投資信託)、エコロジー・リート投資法人の上場を計画していたが、後に断念。2008年1月には長谷工コーポレーションとGEリアル・エステート、住友信託銀行の3社から約12億円の出資による経営支援を受けた。

 その後、保有不動産の売却を進め、2008年2月時点で900億円だった有利子負債を今回発表の決算までに56億円に圧縮したが、その過程で安定的な賃貸収入を生む大型物件の売却を余儀なくされた。今回決算では棚卸資産の評価損14億6900万円、固定資産の減損損失2億9300万円、そして訴訟損失引当金4億7200万円を計上した。

 引当金は大阪・天満1丁目でのマンション開発トラブルに関し、明豊がみずほ銀行に敗訴した8月26日の東京地方裁判所判決を受けたもの。明豊はこれを不服として同日控訴している。