ザイマックス溜池山王ビル(写真:ザイマックス)
CASBEE不動産マーケット普及版の認証票(資料:IBEC)

 一般財団法人建築環境・省エネルギー機構(IBEC)は7月19日、CASBEE(キャスビー)不動産マーケット普及版(以下、CASBEE普及版)の先行認証結果をウェブサイト上で公表した。築40年のザイマックス溜池山王ビルなど、38物件に認証を付与した(次ページの一覧参照)。

 申請者別では、森ビルが8物件、森トラストが5物件、ケネディクス不動産投資法人と東京建物がそれぞれ4物件だ。三井不動産、三菱地所、住友不動産など大手不動産会社からの申請はなかった。

 認証ランクは各評価項目の合計点数(101点満点)で決める。以下の5段階評価だ。
Sランク----78点以上 ★★★★★
Aランク----66点以上 ★★★★
B+ランク--60点以上 ★★★
B-ランク--50点以上 ★★
Cランク----50点未満 ★

 先行認証ではSとAに認証が集中した。この種の制度には珍しく、築年数が経過したビルの認証取得も多い。築30年以上が7物件ある。38物件の平均築年数は17年だ。

 点数が高かったのは、環境配慮型ビルとして造られた2011年竣工の飯野ビルディングだ。95.7点を獲得し、Sランクのなかでもダントツの存在感を示した。竹中工務店東京本店(2004年竣工)が87.5点でこれに次いでいる。

 CASBEE普及版は、竣工後1年以上を経過したオフィスビルを認証の対象としている。従来のCASBEEに比べて評価が容易で、評価・認証にかかる時間が短く、費用も安い。誰でも認証取得に挑むことができるほか、評価の根拠や結果を公表する透明性の高さも特徴だ。

 不動産事業者向けの建物環境認証制度としては、日本政策投資銀行や三井住友銀行の環境認証制度が実績を重ねている。計画段階のビルも認証するものの、取引先のビルだけを評価対象とし、評価細目は外部に明らかにしていない。

 CASBEE普及版の認証申請は現在、受け付けていない。本格運用が始まるのは、外部認証機関の準備が整う10月ごろになる見通しだ。IBECが認証する場合の評価認証費用は、延べ床面積1万m2未満の建物が10万円、1万m2以上5万m2未満が15万円、5万m2以上が20万円となる。