MIPIMのメーン会場であるパレ・デ・フェスティバルの中心に設置された「東京パビリオン」
MIPIMのメーン会場であるパレ・デ・フェスティバルの中心に設置された「東京パビリオン」

 初日の3月11日は日本の不動産市場に照準を合わせたJapan Breakfast、パネルディスカッションFocus on Japanと、日本色の濃い幕開けとなった。

 Japan Breakfastでは国土交通省大臣官房 都市局担当審議官の樺島徹氏が「オリンピック開催決定を機に、東日本大震災から回復した日本を世界にアピールすべく、官民130人で参加した。長い日欧の信頼関係を育みたい」と挨拶。これに続き、UBSのグローバル・リアル・エステート・ポートフォリオ・マネジメント・ディレクター、ジョー・カーン氏がアベノミクスとオリンピック誘致、金融政策が経済効果を上げ、不動産市場が上向いている現状と展望を解説した。

 パネルディスカッションではANREV(アジア非上場不動産投資家協会)のジェレミー・スチュワードソン氏が「日本の不動産市場は安定性、流動性、規模の点でも機関投資家に注目されている。イールド、収益面でも香港、シンガポールに勝り、物件の環境対応、労働力の質も高く評価されている。ただしオリンピック効果の反面、建設費と人件費の上昇が今後懸念される」と指摘した。

 また、BNPパリバ・リアル・エステート・インベスト・マネジメント(旧トリプルアイ・インベストメンツ)のヘッド・オブ・リサーチ&ストラテジー、ステファン・ヤノッタ氏は「2010年に行った調査で日本の不動産の魅力を発見し、ドイツ人機関投資家に向けて住宅のコア物件を主として1億5000万ドルを投資、成果を上げた。今後はリテール、オフィス、そして、湾岸地区の物件にも期待している」と語った。

 ブラック・ストーン・グループ・ジャパンのマネージング・ディレクター(日本代表)、橘田大輔氏は「不動産は当社の投資の最大セクターとなり、2006年からはアジアでの不動産投資にも参入した。日本は安定しているうえ、地方都市を含めた不動産の選択、柔軟性の幅が広いのが強み」と述べた。

 朝食会を主催したダイヤモンド・リアルティ・マネジメントの辻貴史社長は、日本では市場の特性を知り適切なローカルパートナーと組むことが重要と述べ、パネラーらの強い賛同を得た。

官民21団体が「おもてなし」、東京パビリオン

 日本からのMIPIM参加者は国土交通省、東京都を筆頭に、デベロッパー、建設会社、設計事務所、投資ファンドなど官民21団体、130人と過去最大規模となった。メーン会場パレ・デ・フェスティバルの中心部に75m2の「東京パビリオン」が設置され、赤を基調にしたデザインが人目を引いた。官民協力で開設されたブースでは参加各社による、東京を中心とした不動産開発のプレゼンテーションが終日行われ、PRに努めた。訪れた各国の参加者には、ブースでの寿司や日本酒の「おもてなし」がことのほか人気を集めたようだ。


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篠田 香子=フリーランス