直近の不動産投資家調査(日本不動産研究所)によれば、期待利回りはじりじりと低下を続けています。回答者の95%は積極的な投資姿勢を崩しておらず、長引く金融緩和を背景に、価格調整の兆しはみられません。日経不動産マーケット情報の集計では、昨年の不動産取引総額は3兆9265億円と、3年連続の増加。コロナ禍で打撃を受けた事業会社による資産売却が相次ぎ、これを好機とみる投資家の活動は活発です。日経不動産マーケット情報2022年2月号の特集「2021年の売買事例分析」では、こうした投資市場のトレンドを解説。どこでどのような取引が発生したのかをまとめたほか、REITによる売買の推移、オフィスビルの取引単価・利回りなど、多面的に市場を分析しています。今後のマーケットを占う材料として、ぜひご覧ください。

 四半期ごとに実施しているオフィスビル成約賃料調査の結果も、2月号に掲載しています。東京、神奈川、大阪のビジネス地区28エリアが対象ですが、東京では22エリアのうち8エリアで半年前より5%以上の賃料下落となりました。さらに10エリアが5%未満の下落。フリーレントによる実質値下げの動きも顕著です。2023年にはオフィスの新規供給が増加することから、今後の先行きには注意が必要です。28エリアの成約水準をまとめたグラフは2月号のほか、ウェブサイトでもご覧になれます。

 売買レポートは、日本通運が732億円で売却した旧本社ビルや、香港のベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)による大阪の大型ホテル取得、米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)にとって不動産分野では初の対日投資事例など、記事23本を収録。これらを含む取引事例121件を一覧表にまとめています。2002年の創刊以来の取引データは「ディールサーチ」で提供しています。REITの運用実績データなども収録しています。トラックレコードをお探しの際はぜひご利用ください。

編集長 三上 一大