東京証券取引所は1月15日、PBR(株価純資産倍率)の改善に向けた経営改革策を示した企業のリストを公表しました。東証は2023年3月に、上場企業に対して資本コストや株価を意識した経営に取り組むよう要請しており、今回の公表はその一環。PBR改善のため、遊休不動産や利益率の低い不動産の流動化を検討する企業も増えるとみられ、影響が注目されます。

 肌感覚としては、昨年からすでに企業不動産の取引が増えていると感じていますが、2023年を通した不動産取引で急拡大したのはホテルでした。日経不動産マーケット情報2024年2月号の特集「2023年の売買事例分析」では、ホテル取引は対前年比128%増の4704億円(価格が判明した取引のみを集計)。あくまで小誌の報道ベースの集計ながら、過去20年で最高額を記録しました。新型コロナウイルスの感染が落ち着きを見せ、観光需要の回復に伴う盛り上がりがダイレクトに投資につながっています。

 一方で、オフィスビルの取引は低迷。都内中心部での大型売買が減り、全体の取引高は伸び悩む結果となりました。特集では、2023年の主な大型取引や個別オフィスビルの利回り推定、賃貸マンションの坪単価推移など、多角的に市場を分析しています。マーケットの今後を見通す材料としてご利用ください。

 四半期ごとに実施しているオフィスビル成約賃料調査ではこの1年、調査対象28エリアすべてで横ばいの膠着状態が続いていましたが、今回は渋谷などで上昇気配。記事では調査と取材を基に「東京の成約水準は底に到達」とみています。28エリアの成約水準データは2月号のほか、ウェブサイトでもご覧になれます。

 売買レポートの注目大型取引は、エディオンが540億円で自社所有としたエディオンなんば本店、ドン・キホーテが100億円台前半で同じく自社所有としたドン・キホーテ秋葉原店、大京が500億円で取得した港区白金のセイコー創業家旧邸宅など。売り主はそれぞれシンガポールのメープルツリー・インベストメント、独デカ・イモビリエン・インベストメント、シンガポールのCity Developments Limited(CDL)と、いずれも海外勢です。これらを含む取引事例139件を一覧表にまとめています。

 2002年の創刊以来の取引データは「ディールサーチ」で提供中。REITの運用実績データなども収録しています。また、東京都心のオフィスビル約3000棟のテナント情報については「オフィスビルデータベース」で提供しています。併せての利用をご検討ください。

編集長 岡 泰子