橋梁建設業界で談合事件が発覚したときのことだ。NHKの「週刊こどもニュース」は談合行為を「会社同士がズルをして、自分たちだけもうかるように、こっそり話し合うこと」と説明していた。ストレートでわかりやすい表現に感心したものだ。独占禁止法違反の疑いと言われるよりも、ずっと恥ずかしい感じがする。

 建設技術者の多くは、「社会に役立ちたい」という思いを胸に建設業界に就職した。それがいつの間にか、社会を裏切る立場になっていた。皮肉なことである。個々には善良な社会人だったとしても、会社あるいは産業界ぐるみのルール違反にブレーキがかけられなかった事実は否めない。その結果、産業界の評判も落ちて、若い優秀な人材が集まりにくくなっている。

 こんな話を持ち出したのは、REIT(不動産投資信託)に対する相次ぐ行政処分によって、REITへの投資に慎重になる人たちがいたことが明らかになったからだ。問題の本質は談合事件とは異なるものの、社会の信頼を裏切るという点で、二つの事件が重なって見えた。

 拡大が続く不動産投資市場だが、「社会のため、投資家のため」という視点をなくしたとき、衰退に向かうだろう。橋梁建設業界のその後の苦境をみていると、市場の健全性に対する社会の信頼が欠かせないのだと改めて思う。もしREITへの行政処分を「週刊こどもニュース」が取り上げたとしたら、どのように説明しただろうか。

(菅 健彦)

■関連記事
REIT投資に潜在個人投資家の約5割が慎重姿勢、相次ぐ行政処分の影響で