金融庁などが信託銀行、REIT(不動産投資信託)に対して、行政処分を下す動きが相次いでいる。つい先日の7月18日にも、事実と異なる役員会議事録を作成していた日本レジデンシャル投資法人が、関東財務局から業務改善命令を受けた。同投資法人は、4月に日本リテールファンド投資法人に行政処分が下った事件をきっかけに、自主的に社内調査を実施した。その結果、違反があった事実が判明し、自ら違反を申告するに至った。

 6月に、オリックス不動産投資法人の運用会社が善管注意義務違反を問われ、証券取引等監視委員会が金融庁長官などに行政処分を勧告した。この際に、証券取引等監視委員会は、通常は公表しない具体的な違反の内容を補足資料のなかで明らかにした。他のREIT運用会社が法令違反を正すための参考になればとの考えから、あえて違反内容の公表に踏み切ったものだ。補足資料を基にして、自らの資産の状況などを改めて調査したREIT運用会社も多いはずだ。日本レジデンシャル投資法人のように、自ら違反を申告する動きが出てもおかしくない。いずれにしろ、REITへの行政処分はまだまだ続くという気がしてならない。

 処分の対象となった一つひとつの違反が、直接、投資家に大きな損失を招いたとは思えない。ただ、投資家に大きな被害が出て社会問題化する前に、危険な芽を摘んでおこうという金融庁の意思を感じる。4月に信託銀行への処分が相次いだ直後、ある金融機関の資産運用担当者に話を聞いた。彼は、「信託銀行の次は、REITに対する調査・処分が進む」と話したうえで「その後は、不動産業向けの融資に対する監視が強まっていくだろう」と指摘した。

 確かに、違反建築物を取引するケースや、投資家保護に関する内部体制が確立できていない企業などに対する融資について、厳しい規制が進むことはあり得る。先の金融機関の人が、「そろそろ、誰でもお金を集められる時代は終わる。良い物件を運用しており、投資家に対して運用状況をきちんと説明できる会社だけがお金を集められる時代になる。それは、本来あるべき姿に戻るということだ」と話していたのが印象的だった。

(徳永 太郎)