本誌7月号の特集で、六本木の不動産取引と開発動向をまとめた。地元の不動産会社数社に話を聞く機会を得たのだが、東京ミッドタウンや国立新美術館の誕生による周辺地域の活性化を期待する半面、昨今の治安悪化を各社一様に心配していた。

 一昔前に比べて、六本木には風俗店が増えた。不良外国人も相変わらず多い。周辺に住むエクスパット(海外本社からの派遣社員)たちは「ガイジンが恐いから」と六本木を避けて、広尾や恵比寿に飲みに行くという。麻布警察署は治安対策に力を入れているものの、問題を起こした人を留置場に収容しきれずに近隣の警察署に移送することもたびたびだ。

 新宿の歌舞伎町では海外マフィアが入り込み、街のアンダーグラウンド化が進んだ。嘘か真か、「マフィアにカツアゲされるので外を歩くのが恐い」と日本のヤクザがこぼすほどだという。その結果、「トラブルを避けたい銀行は、歌舞伎町のビルというだけで融資をしなくなっている」と不動産売買のプロは語る。

 六本木でも治安が悪化すればいずれそうならないとも限らない、というのが地元の不動産会社の懸念だ。歌舞伎町と六本木ではずいぶんと環境も違うように思うが、街の変化を直に見ている人たちにしてみれば、心配の種はつきないようだ。

(三上 一大)