銀座と表参道地区の商業施設では、1階部分の店舗賃料が高騰している。本誌9月号のトピックスでもお伝えしたが、銀座・中央通りや表参道など一等地にある店舗の場合、1坪あたりの月額賃料は20万円を超えている。ある仲介会社は「1階の店舗がテナントを募集する例が少ないので、入居できるならいくら支払っても構わないというテナントも多い」と話す。

 周辺にある主要な通り沿いでも1階部分の賃料は上昇傾向にある。ただ、2階以上のフロアになると、1坪あたり5万円程度が成約する目安だ。銀座や表参道では、1階部分の店舗賃料とこれ以外のフロアの賃料に、極端な価格差が生じている。いかに人を呼び込むかが重要となる物販テナントにとっては、何より1階部分の路面店を確保したいというニーズが強い。なかには、採算を度外視しても、広告・宣伝料だと割り切って高い賃料を負担するテナントもいるようだ。

 こうした1階部分への高い出店意欲を背景に、「新築の商業施設では“銀座ルール”とも呼ぶべき新しい現象が生まれている」(銀座に詳しい不動産会社)。オーナーがテナントを募集する際に、地下1階と地上1階、2階の計3フロアをセットにして貸し出すケースが多くなっている。これは、表参道にも見られる現象だ。オーナーにとって、人気がある1階はともかく、地下1階と2階以上のフロアについてはテナント確保に少々、不安がある。そこで、1階部分の人気を最大限に利用して、少しでも多く床を埋めてしまおうというわけだ。

 かつて、新発売の人気ゲームソフトを販売する際に、売れ行きの悪いゲームソフトをセットにして販売していたケースがあった。あれと同じような現象だ。銀座と表参道のフロアのセット貸しでは、実際に3フロアまとめて契約するケースが多い。階段で地下1階や地上2階を1階とつなぎ、一体の店舗として使用しているテナントが多いようだ。不必要なフロアまで無理して借りたことで、収支が合わずに、せっかく入居しても撤退してしまうケースも出ている。ただ、「撤退しても、3フロアをまとめて借りるテナントがすぐに決まる」(店舗仲介会社)。1階店舗に入居したいテナントが列をなして待っている銀座・表参道だからこそ、成立している現象なのだろう。

(田村 嘉麿)