アスベスト問題、耐震偽装事件と、2005年には建物の安全性を根本から問い直す大きな事件が相次いだ。これらの問題は根が深く、2006年になっても尾を引いている。個人的には、年末に報道された丸の内トラストタワーの取引に関するニュースにも驚いた。著名なビルの取引であることに加えて、4000億円という高額な取引価格に驚かされた。

 報道によると、1坪当たりの取引価格は1億円を超える。都心部の不動産取引動向に詳しい大手不動産会社の社員に意見を求めたところ、「やや過大な金額での取引だが、将来的に実勢価格となる可能性を含んだ金額だ」と話していた。頻繁に取引されるエリアではないだけに、一つの価格がプライスリーダーとなって他の取引に与える影響も大きい。本誌2005年11月号の特集記事で、銀座の取引価格が坪1億円に迫る勢いだと書いた。丸の内、銀座といったオフィス、商業の中心地では、2006年に坪1億円という水準が実勢価格になるかもしれない。

 本誌2006年1月号に掲載した、2006年の都心部のオフィス賃料予測では、丸の内エリアにおける成約賃料の最高値が坪6万円に達すると予測する人もいた。2006年が終わってみれば、「1坪当たり取引価格1億円、賃料6万円時代」として記憶される1年になるのだろうか。一方で、昨年末に、日銀が不動産融資の監視を強化するというニュースも報道された。不動産バブルの再燃を懸念する声は日増しに高まっている。金融面の対応の変化も含めて、2006年は今後の不動産市場を大きく左右する1年になる。

(徳永 太郎)