企業のオフィス移転は依然として活発だ。大規模オフィスビルの完成が相次いだ2003年問題では、企業が移転を取りやめる「借り控え」の傾向が見られた。2006年、2007年に再び大規模ビルの完成が進むが、今のところ「借り控え」は見られない。むしろ、まとまった床を早めに確保しようと、完成前のビルへの移転を決める企業が続いている。

 活発な市況を反映して、これから完成するビルを中心に移転がうわさされる企業の名前も多数、飛び交っている。今回は、こうした企業のうわさの一部を紹介しよう。

 富士写真フイルム、ヤフーの入居が決まった東京ミッドタウンプロジェクト(六本木防衛庁跡地開発)では、テナントとしてこれまでに様々な企業の名前が上がった。ゲーム制作会社、製薬会社、衛星放送会社、飲料メーカーなどだ。どうやら、製薬会社とゲーム会社の移転がほぼ内定した模様だ。このほかに、外資系のシステム会社も入居する可能性が高いと言われている。この企業は、数年前から移転を検討しているとの情報が絶えなかったが、結局は移転せずにきた。今回は、いよいよ本当に決断するかもしれない。

 2006年も、合併企業のオフィス集約が続きそうだ。いま移転が有力視されているのが、合併したばかりの玩具メーカーと、数年前に外資系企業が株式を取得した国内製薬会社。実は、2社とも住友不動産が開発しているビルに入居するとみられている。

 2007年に完成するビルで、テナント企業の動向や成約賃料水準が注目されているのがJR東京駅周辺で完成する新丸の内ビル、JR東京駅八重洲口開発、JR東日本東京駅日本橋口ビルだ。テナント誘致合戦が激化することから、「JR東京駅前戦争」とも呼ばれている。完成までにまだ間があるため、確かな情報は入手できていない。それでも、これらのビルに入居する企業のうわさが少しずつ出始めた。今は、大手法律事務所、広告代理店の名前がささやかれている。

(徳永 太郎)