先日、自宅のすぐ近くにできた新築賃貸マンションのオープンルームを見学してきた。不動産ファンドが取得した総戸数、100戸を超える大型物件だ。今年2月に完成して入居者を募集している。

 営業担当者に未入居の部屋をいくつか案内してもらった。どの部屋も窓が大きく、日当たりがいい。セキュリティシステムなどの設備も充実している。賃料は、30m2ほどの1DKタイプで月額13万円~15万円、40m2を超える1LDKのタイプで18万円~21万円に設定している。

 営業担当者の話では、5月中旬時点で契約が済んだのは6割程度だという。この稼働率が低いのか高いのか一概に判断できないが、それほど順調に入居者が集まっているわけではなさそうだ。募集開始時点の賃貸条件は、敷金2カ月、礼金2カ月だったのに、1カ月ほど前から敷金1カ月、礼金なしに条件を変更していることから、苦戦ぶりがうかがえる。

 これだけ賃貸条件を変更しても入居者が決まりにくいのか、営業担当者はさらに好条件を提示してくれた。「1LDKのタイプに限って、フリーレントを1カ月分おつけしています」。礼金がなく、フリーレントが1カ月分あれば、一般的な賃貸条件の物件に比べて3カ月分も費用が減ることになる。

 自宅周辺ではこの物件以外にも、複数の新築賃貸マンションが建設中だ。ここまでやらないと入居者が確保できないのは、このマンション特有の事情なのか、それともほかの物件も同じ傾向になるのか。不動産ファンドなどの物件取得競争が激しくなる中、ニーズを無視した開発が増えてなければいいのだが……。

(高橋 敏雅)