1坪当たり共益費込み5500円――。2004年、本誌がつかんだ都心3区の成約賃料の最安値だ。地下鉄人形町駅から徒歩5分の日本橋小舟町にある中小ビルの事例である。中央区の東エリアでは、ほかにも共益費込み6000円台の成約事例が複数、確認できた。「共益費込み7000円以下にすれば、このエリアならほとんどのビルは借り手が見つかる」と、オフィス仲介会社の営業マンは説明する。実際、少なくない中小ビルがそうしてテナントを確保している。

 募集賃料をみても、このエリアは非常に安い。三幸エステートの2004年7月時点の調査では、「人形町・箱崎町・新川・月島」エリアの平均募集賃料は都心3区の中で一番低かった。ワンフロア50坪以下の小型ビルの平均募集賃料は9335円だ。1万円を切ったのは、都心3区ではこのエリアだけだった。築年数の古い中小ビルが多いことが大きな要因とみられる。

 アットホームの調査では、中央区の東エリアのワンルームマンションの募集賃料相場は、1坪当たり約1万3000円だ。このエリアの中小オフィスビルは、コンバージョン(用途変更)して賃貸マンションにすれば、収入が大幅に増えることになる。オフィス仲介会社の営業マンは、「このエリアには新しい中小ビルはあまりない。新築並みにリニューアルすれば、共益費込み1万円台で貸せる」と話す。

 ただ、いずれにしろかなりの投資が必要だ。しかも、賃貸マンションに用途転換するにしても、どれだけ需要があるのか不安がある。中央区の東エリアはオフィス化が進んで、スーパーマーケットなどの生活関連施設が少なくなっているからだ。リニューアルしても、数千円しか賃料を上げることができなければ、投資を回収するのに長い時間がかかってしまう。「しばらくは安い賃料でそのまま貸そう」と考える中小ビルオーナーがいても無理はない。

(高橋 敏雅)