都心部の空室率は改善し、自社で所有するビルでも空室を解消できた。そろそろ継続賃料を値上げしよう――。こう考えるビルオーナーが出てきた。テナントを誘致するために低い価格で契約したケースもあり、できるだけ早く値上げを進めたいという事情もある。しかし、値上げのタイミングを計りかねている。

 ここへきて、竣工時に満室稼働する賃貸オフィスビルが相次いでいる。数年後に完成するオフィスビルでも次々にテナントが決まっている。例えば、2007年に完成する予定の東京ミッドタウンプロジェクト(六本木防衛庁跡地開発)は、すでに富士写真フイルム、富士ゼロックスの入居が決まった。このほかにも、2005年~2006年に完成するビルのなかには、複数のテナントを早々と確保したところもある。

 新築大規模ビルが好調にテナントを確保している状況が、かえって既存のビルオーナーを悩ませている。「今、継続賃料を上げる交渉を持ちかけたら、これから完成する新築ビルにテナントを奪われかねない。テナントに対して強気に出るか、まだ弱気でいるべきか、ビルオーナーは迷っている」(不動産仲介会社)。それどころか、継続賃料の値下げを求められるオーナーも出るだろう。ITバブルの時期に高い賃料で契約したテナントが、新築ビルへの移転をちらつかせて値下げを要求するからだ。

 新築ビルが、いくらの賃料でテナントを集めているかが問題だ。ある程度、高い賃料で契約していれば、自社テナントの継続賃料にも値上げ余地が出てくる。低い水準であれば、テナントを奪われないように防衛策を講じなければならない。先日、ニッセイ基礎研究所が実務家、専門家を対象にしたアンケート結果を発表した。これによると、今後1年間の賃貸オフィス市場について、「空室率も成約賃料も横ばいで推移する」という見方が強い。既存の大規模ビルのオーナーが値上げに転じるのは、まだ先のことになりそうだ。

(徳永 太郎)

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