破綻した抵当証券会社、大和都市管財の詐欺事件に関連して、不動産鑑定士に損害賠償を命じる判決が2005年1月末、東京地方裁判所で下された。詳細は日経不動産マーケット4月号に掲載した通りだ。抵当証券の担保となったゴルフ場の鑑定評価が誤っていたために被害を受けたとして、投資家に訴えられたのである。同種の事件の判決が2004年9月、大阪地方裁判所でもあったが、やはり不動産鑑定士に損害賠償を命じている。

 二つの裁判では、抵当証券の販売に直接かかわったわけではない不動産鑑定士の責任を明確に認定した。例えば、東京地裁の裁判官は「違法な鑑定をした場合、鑑定の依頼者など直接の利害関係者だけでなく、一般の国民に対しても損害賠償責任を負う」と判決文に書いている。

 このケースがそうであるかどうかはわからないが、依頼者の要望をくみ取って、鑑定価格を決める不動産鑑定士がいるという話をときどき聞く。抵当証券の発行に当たって鑑定評価を行うのは、財産的な価値のない抵当証券が発行されることを防ぐためだ。抵当証券発行会社の方を向いた鑑定評価では意味がない。

 公認会計士の企業監査も、依頼企業とのなれ合いがあって形骸化しているという話を聞くことがある。それでも最近は、投資家などから訴訟を起こされる可能性が増加していることもあって、依頼企業の存続を左右するような厳しい監査内容をつきつけるケースが出てきている。

 不動産鑑定は、不動産投資信託(REIT)市場の拡大などで、投資家に与える影響が増している。不動産鑑定士は、不動産鑑定評価基準に明記されている社会的公共的意義を肝に銘じて鑑定に当たってほしい。

(高橋 敏雅)