雑誌は銀座が大好きだ。都市を味わい都市を批評し都市を創る雑誌『東京人』(都市出版)が11月号で特集「銀座70話」を組めば、大人のための首都圏散策マガジン『散歩の達人』(交通新聞社)の11月号は特集「銀座発掘。」で打って出た。人生をより豊かにするオフ生活情報誌『日経おとなのOFF』(日経ホーム出版社)12月号も「銀座を極める」でページを割いた。

 『東京人』が銀座に関するうんちくで、『散歩の達人』は江戸時代以降の地図を並べて、それぞれ持ち味を出した。『日経おとなのOFF』は「食」「遊」情報を充実させて中高年男性の気を引こうとする。銀座など、年に1~2回しか足を運ばないのに、見出しにつられた私は3冊とも買ってしまった。でもこの3冊、ページをめくると重複感もある。どの雑誌にもお薦めの店と料理の写真が載っている。地図にブランドショップや食の有名店などを記しているのも共通点だ。

 そんななか、東京圏の売買価格をウオッチする『日経不動産マーケット情報』(日経BP社)は、12月号で同じ銀座にスポットを当てながら独自路線を貫いた。タイトルは「取引される街・銀座中央通り周辺」である。地図に記したのは「おいしいお店」の場所ではなく、2003年以降の不動産取引事例33件だ。不動産のプロにとっては、取引事例こそが何よりのごちそうだろうと編集部は考えた。坂井敦記者が聞き込みで拾い上げ、登記簿で裏を取って一覧表にした。

 12月号の編集作業を終えた日、坂井記者に尋ねた。「この銀座の記事を書くのに、どれくらい登記簿を取ったの?」。坂井記者はちょっと考えてから答えた。「70件くらいでしょうか。なかには間違って取ったものがあったりして……」。日経不動産マーケット情報の銀座の記事は、たった4ページでカラー写真もないが、見えないところにお金をかけている。

(菅 健彦)

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