東京証券取引所は2006年10月、REIT(不動産投資信託)の上場審査基準を改正して利益相反防止に関する規定を強化した。投資法人がスポンサー企業グループなどの利害関係人から運用資産を取得したときには、特別な関係がない第三者の所有時点までさかのぼって、取引価格などを明らかにしなければならなくなった。この規定は、すでに上場している投資法人にも適用される。

 そこで、東京証券取引所の基準が変わってから、REIT各社が資産を取得する際に、第三者からの取引価格を公開したケースがどれくらいあるかを調べてみた。2006年10月~12月に公表された51物件を対象にした。利害関係人から取得していたケースは18物件あった。このうち、前所有者が開発した物件を除くと16物件となった。16物件のなかで、価格を公表していたケースは3物件にすぎない。日本リテールファンド投資法人と日本コマーシャル投資法人のものだった。

 新しい基準では、「スポンサー企業が1年以上所有していたケース」や「前所有者の物件取得が審査基準を改正した2006年10月1日以前で、取引に関して守秘義務契約を結んでいるケース」については、取得価格の情報を省略できることになっている。もっとも、価格を公開していないケースの多くは、守秘義務契約を結んでいることを理由に挙げていた。

 最近、利益相反やコンプライアンス体制などに対する投資家の目が厳しくなっている。かつての取引価格を公表しているケースも、もっと多いのではないかと思っていた。第三者からスポンサー企業への取引価格を公表することは、投資家にとってREITの取得価格の適正さや運用会社の内部体制を判断する一つの材料になる。長期的な視野に立ってREIT市場の健全な発展を考えるなら、第三者からの取引価格を積極的に公開すべきだ。

徳永 太郎