「ドバイでは、建物ごと回転する高層マンションの計画があるんですよ」。つい先日、取材先からこんな話を聞いた。どの部屋からも様々な眺望を楽しめるよう、太陽光発電によって1週間で約1回転するらしい。

 外国人による不動産投資が解禁されて以来、アラブ首長国連邦のドバイには世界中の資金が流れ込み、不動産投資が過熱している。世界地図と同じ形に島を配置した人工島や、世界一の高さの超高層ビルの建設プロジェクトも注目を集めている。どれも日本人には考えつかないセンスやスケールだ。私が昨年まで担当していた土木分野の雑誌では、日本の大手ゼネコンが高級コンドミニアムや道路など数百億円単位の大型工事を相次いで受注したことが話題になった。日本企業とトルコ企業の連合体が全自動無人運転鉄道システムの建設なども受注しており、ゼネコンにとっては無視できない市場になっている。

 話は飛ぶが、サッカーの中村俊輔選手は、試合中にピッチを「鳥の目」で上から見る感覚でプレーしているという。1年近く前の日経新聞に載っていた記事で、同選手によると縦列駐車も同じ要領でやれば簡単だとのことだ。

 中村選手のようにはいかないだろうが、不動産ビジネスでも、全体を俯瞰(ふかん)して見る姿勢が欠かせない。冒頭の取材先は、「たとえ実際にドバイで取引することがなくても、世界の中で活気がある地域の不動産市場を知っておくことが大切だ」と話していた。海外の投資家と商談する際に役立つほか、日本の市場の動きをとらえるうえでも重要だという。別のある不動産会社では毎年1回、社員旅行として全社員で海外に出かけている。ラスベガス、ハワイ、東南アジアなど、その時々に活気のある地域を選び、リフレッシュと研修を兼ねているそうだ。

 記者の仕事も基本は全く同じこと。縦列駐車は苦手な私だが、取材や執筆では近視眼にならないよう心がけたい。

岡 泰子