フランスのソシエテ・ジェネラル・アセットマネジメントはこのたび、日本での投資を開始し、1200億円程度の不動産を買う方針を明らかにした。シンガポールのREITも近く、複数の商業施設を買う。ニュージーランドのREITは同国内の不動産利回りが低下していることから、アジア地域、とりわけ日本への投資を検討し始めた。海外からの資金流入は今後も続く。

 ファンドの投資対象はオフィスビルや賃貸マンションから商業施設、ビジネスホテル、物流施設、さらにはリゾートホテル、旅館、病院、老人ホーム、有料道路へと、投資判断が難しく、オペレーションの能力が問われる不動産に広がっている。しかし、これらにも飽き足らない、もっと変わったものに投資したい投資家にはこんな案件はいかがだろう。

 京都の名所として観光客を集めている寺に隣接して、日本庭園がある。敷地面積は1万m2以上で、茶室や迎賓館などを備えている。元は寺の一部だったが、明治時代に売却され、個人の居宅として利用されてきたらしい。詐欺事件の舞台になった後、競売にかけられ、2006年に関西の不動産会社が落札した。ある不動産会社は「収益物件として50億円で買わないかと持ちかけられた」という。

 庭園が50億円に見合う収益を生むとはにわかには信じがたいが、ロジックはこうだ。京都への観光客は過去5 年間、増え続けており、2005年には4727万人に達した。京都市の調査によれば、隣接する寺には年間500万人が訪れている。件の庭園を観光客に開放して1000円の入場料を取れば、5億円の収入になる。50億円で買えば表面利回り10%というわけだ。京都の庭園を所有する優越感も得られるおまけ付きだという。

 海外投資家との付き合いが多いファンドマネジャーから、「京都の物件をファンドに入れると外国人に評判がいい」との話を聞いたことがある。投資案件が不足しているなか、外国人ウケをねらってこの庭園に関心を持つファンドが現れるかもしれない。もっとも先の収益計算は捕らぬ狸の皮算用。観光客をどれくらい呼び込めるか、庭園や日本家屋の維持費にどれくらいかかるかなど、不確定要素は多い。もし投資対象として考えるならば、難しい判断を迫られそうだ。

【注】この売却情報は今年初め時点で入手したものです。4月半ば現在、売り物件になっているかどうかは不明です。

三上 一大