六本木7丁目の裏通りを歩いていたら、以前に比べて格段に通行人が増えていることに気づいた。どうやら国立新美術館への近道となっているらしく、自然発生的に人の流れができたようだ。古い小規模物件が多い地域だけに、今後は開発の動きが活発になるだろう。

 一般に人通りが多いほど商業開発には有利だが、店舗というものはなかなかくせ者だ。渋谷のある通り沿いに、路面店のテナントが頻繁に入れ替わっているビルがある。私が知っているだけでも、ここ2~3年で4回は変わった。間口こそ狭いものの、若者を中心に人通りは多く目立つ場所にあることから、カフェや物販店が入居したが、ことごとく撤退の憂き目に遭った。

 そうかと思えば、同じ通り沿いのビルの1階で長らく営業している飲食店がある。地味なたたずまいで外からは暇そうにみえるのだが、若者から中年まで男女を問わずに客が入っている。特別に料理がおいしいわけでもないし、駅から近いわけでもないが、なぜか人を引き付けている。「暇だろうと思ってアルバイトに応募したら、忙しいのであてが外れた」とアルバイト君も笑っていた。

 目を大型商業施設に転じると、あり余る投資資金を後ろ盾に全国各地で商業開発が進む一方で、失敗事例も出始めている。某不動産会社は決算説明会で、神宮前での大型商業開発がうまくいっていないことを明らかにした。テナントの選定を子会社任せにしていたところ、思ったような集客ができず、苦戦しているのだという。これを反面教師に、関西で行う予定の商業開発では社長自らが陣頭指揮を執ってテナント集めをする方針を掲げた。

 あるファンドが九州で開発した大型商業施設は、予定していた賃料ではテナントが集まらず、物件を売るに売れない状況に陥っているもようだ。街なかの小規模店舗ならばともかく、大規模商業施設では集客力の差が大きな損失を生むことになりかねない。商業施設の増加とともに、優良テナント確保や集客をめぐる競争は激しさを増している。より慎重な需要調査が求められる時代に入ったことは間違いないだろう。

三上 一大