東京都心では、数年前から外資系の超高級ホテルが続々とオープンしている。今年は3月にザ・リッツ・カールトン東京が開業、この9月1日にはザ・ペニンシュラ東京が営業を開始する。ニューヨークやロンドンなどの国際都市と比較すると、東京にはこの手のホテルがまだ少ないらしい。

 外資系の超高級ホテルだけではない。芝浦工業大学の移転跡地で進んでいる芝浦ルネサイトには、ワシントンホテルの計画がある。サンルートは、有明と新橋で新規計画を進めている。阪急阪神第一ホテルグループも、日比谷と秋葉原にホテルを開業予定だ。日比谷のホテルは、旧東宝本社ビル跡地に建設中の建物に入居する。これらは、いずれも宿泊に特化したタイプのビジネスホテル。新幹線や空港の利用に利便性の高い立地が選ばれているようだ。また、シティホテルでも、キャピトル東急ホテルがいったん営業を終了したが、新しい形態に生まれ変わる見込みだ。

 一方で、日経不動産マーケット情報が作成した「これからできるオフィスビル」の地図などをながめてみると、消えていったホテルがあることに気づく。昨年竣工した住友不動産三田ツインビル西館は、2002年1月で営業終了した三田都ホテルがあった場所だ。現在、時事通信社の本社ビルが建っている場所では、銀座東急ホテルが2001年1月まで営業していた。近隣の銀座三井ビルディングは、銀座第一ホテルが2002年4月に閉鎖した跡に建てられたものだ。ただし、上層階では三井ガーデンホテル銀座が新たにオープンしている。

 そう言えば、2002年竣工のプルデンシャルタワーは、火災のあったホテルニュージャパンの跡地に建てられたものだ。逆に、ザ・ペニンシュラ東京がオープンする場所では、2003年まで日比谷パークビルヂングがオフィスビルとして稼働していた。また、オフィスビルではないが、千鳥が淵のフェアモントホテルが閉鎖・解体され、分譲マンションとなったのは記憶に新しい。

 外資系の超高級ホテルの進出、国内シティホテルの淘汰、宿泊主体のビジネスホテルの新規開業など、ホテル業界の変化はかなり以前から、じわりじわりと着実に進んでいる。新しいホテルを利用する際に、ここには以前何があったのだろうと思いを巡らせてみてはどうだろうか。

橋本 郁子=不動産アナリスト