2008年最初の株取引日となった1月4日、日経平均株価は1万4691円と昨年来最安値を更新した。景気の先行きを警戒して、株式市場は荒れた船出となった。一方、拡大を続けてきた不動産投資市場の2008年は、どのような展開をみせるのだろうか。個人的には、2008年の不動産投資市場のキーワードは「選別化」だと考えている。

 米国発のサブプライムローン問題の影響で、外資系中心に金融機関が不動産融資に慎重な姿勢を見せ始めている。取引される物件の価値や取得する企業の内部体制などの審査はより厳格化しており、今年は不動産融資において企業の選別化がより一層進む可能性が高い。

 2007年9月に施行された金融商品取引法の影響も、今春以降に顕在化しそうだ。この法律によって、不動産に関連する投資商品の規制が厳しくなる。取引業務に携わる場合には金融商品取引業者としての登録を求められ、情報開示の充実、不公正取引への罰則強化といった規制を受ける。不動産ファンドを運用する会社は、こうした規制をクリアする必要があり、これに対応できなければ従来通りのファンド運用ができなくなる。法律によって、プレーヤーが選別される格好だ。

 金融商品取引法によって投資家保護の動きが強まるなか、企業のコンプライアンス態勢などに対する投資家の目も厳しくなった。単に法律をクリアすればいいというわけではない。投資家からの信頼を得られない企業は、市場から淘汰されかねない。

 ただ、安心して投資できる市場環境が整えば、投資家層のすそ野が広がることになる。市場が拡大すれば、投資家とともに商品を提供するプレーヤーも増加し、新しいビジネスチャンスも出てくるだろう。2008年は、こうした市場のさらなる拡大に向けた過渡期となるのかもしれない。

徳永 太郎