REITまたは同様の制度を導入している国・地域(クリックで拡大表示)
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不動産投資市場が世界的に拡大している。2006年の直接投資金額は69兆円に達し、過去最高を記録する見通しだ。アメリカに次いで世界2位の市場規模を誇る日本にも、資金が流れ込んでいる。市場の透明性の向上や潜在的な投資対象不動産の多さが、これを後押しする。投資利回りの低下、金利の上昇といった懸念をはらみつつも、日本の投資市場は拡大を続けている。その様子を4回のシリーズでお伝えする。(三上 一大)

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 不動産を流動性の高い「証券」に加工することで投資のハードルを下げ、広く投資資金を集めることができるREIT(不動産投資信託)制度。1960年にアメリカで生まれ、2000年以降、急速に世界に広まりつつある(上の図参照)。国によって細部は異なるが、少なくとも17の国と地域でREIT市場が誕生している。イギリスは2007年の導入が決まっており、ドイツでも間もなく決定する見込みだ。ほかにも検討中の国がたくさんある。

 市場が最も大きいのはアメリカで、50兆円弱の時価総額となっている。2番目に大きいのは9兆円のオーストラリアだ。同国ではLPT(Listed Property Trust)と呼び、人口が約2000万人と日本の6分の1であるにもかかわらず、日本の2倍の市場規模を誇る。オーストラリアでは退職年金への掛け金が段階的に引き上げられ、飛躍的に増大した年金資金が不動産投資に向かった。その金額は年間6000億円に上り、LPT市場の拡大を後押ししている。

 オーストラリアの不動産は半数近くが、LPTの運用資産になっているか証券化されている状況だという。そのためLPTの投資先は海外に広がり、日本もターゲットになっている。日本の不動産投資に特化したバブコック・アンド・ブラウン・ジャパン・プロパティ・トラストが2005年4月に上場したのを皮切りに、2006年10月にはルビコン・ジャパン・トラストが上場、12月にはガリレオ・ジャパン・トラストが上場した。さらに複数の会社が組成を検討している。

 アメリカのREITについていえば、プロロジスとAMBコーポレーションが日本の物流施設に、サイモン・プロパティ・グループが日本の商業施設に投資している。現在、日本のREITにおいても、海外投資の条件整備が進められているが、投資案件をめぐる国際的な競争が激しくなりそうだ。

 資本市場どうしの競争も起こるだろう。インドネシアの不動産会社、リッポー・カラワチは自国内の不動産を投資対象とするREITを組成した。マレーシアの証券取引所に上場する選択肢もあったが、より資金の集まりやすいシンガポールの証券取引所に上場することを決めた。今後、日本よりも上場手続きが簡素で、時差も少ないオーストラリアでの上場をめざす日本の会社が出てくるかもしれない。

(レポートの全文を「日経不動産マーケット情報」2007年1月号に掲載しています)

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