新歌舞伎座
新歌舞伎座

 大阪・なんばのランドマーク、新歌舞伎座の移転が決まった。2010年夏、近鉄上本町(うえほんまち)駅の隣地で完成予定の複合ビルに入居する計画だ。新歌舞伎座を傘下に置くリサ・パートナーズと、近畿日本鉄道が4月25日に発表した。リサは新歌舞伎座跡地の再開発を検討しているもようだ。

 新歌舞伎座は1958年に竣工した劇場で、歌謡ショーなど大衆演劇の場として親しまれてきた。御堂筋に面しており、地下鉄なんば駅に直結している。建物は有名建築家、村野藤吾の代表作の一つで、寺院風の屋根が幾重にも張り出した特徴的な外観を持つ。地上8階地下3階建てで、土地面積は1875m2、延べ床面積は9410m2。1638の客席を備える。

 リサ・パートナーズは2005年12月にダイエーから新歌舞伎座の運営会社を取得した後、2006年6月に特別目的会社(SPC)へ土地・建物を移管した。リサは計画の詳細を明らかにしていないが、周辺はマルイやタカシマヤなどの百貨店が並ぶ商業エリアであることから、店舗を中心としたビルの開発を念頭に置いているとみられる。土地は容積率1000%の商業地域に指定されている。

 一方、近鉄は中核ターミナルである上本町駅周辺の再開発にあたり、2004年に閉館した近鉄劇場に代わる集客施設を検討してきた。新歌舞伎座の移転先となる複合ビルは、駅の南隣にある近鉄劇場跡地に建設する予定だ。今後詳細を固め、2008年をめどに着工する。上本町では、駅ビルに入居している近鉄百貨店が大規模改装を予定している。

本間 純