ホテル投資アドバイザーのジョーンズ ラング ラサール ホテルズ(JLLH、本部:ロンドン)は2007年12月、「FocusOn:日本の海外ホテル投資再燃はあるか?」と題するレポートを発表した。潤沢な投資資金を持つ日本の投資家が海外投資を検討し始めるなか、今後の海外ホテル投資の可能性と課題について分析している。

 1980年代、日本の投資家は海外のホテルを積極的に購入し、グローバルなポートフォリオを構築した。バブル崩壊後は一転、海外からの撤退と国内業務の再構築に時間を費やしてきたが、ここにきて、日本の投資家は再び、海外投資を視野に入れ始めた。実際に投資を開始した企業もある。国内でのホテル取得競争の激化や、国内の低い資金調達コストと海外の高い不動産利回りとのギャップなどから、今後、日本の投資家が多くの海外ホテルを買収する可能性がある。

 ただ、80年代の買収ブームが再現される可能性は低いとJLLHはみる。投資家は80年代の教訓から多くを学び、投資に対する要求水準が厳しくなっている。主要通貨に対して円が安いことも投資意欲に水を差す。強い購買意欲を持つREIT(不動産投資信託)の海外投資が事実上、閉ざされていることも、買収ブームに至らないであろう理由の一つだ。

 今後、こうした要素がどう推移するかによって、日本の投資家の海外ホテル投資に対する積極性が決まるとJLLHは指摘している。レポートの入手については、JLLHの堀木氏までメール(izumi.horiki@ap.jll.com)にて確認のこと。