9月号では、大阪・心斎橋筋エリアの商業動向を特集しました。ここ数年、心斎橋筋ではファッションブランドの新規出店が相次ぎ、若者を中心とする買い物客や観光客などで連日、賑わっています。御堂筋やアメリカ村など周辺の商業エリアの賃料が下落傾向を示すなか、高い集客力を背景に心斎橋筋の賃料水準は安定して推移しています。

 記事では、2008年以降に出店した主な店舗テナントを調査しました。アメリカ村から店舗を移転するケースが見られるなど、心斎橋筋でファッションブランドの集積が一気に高まっていることが改めてわかります。REIT(不動産投資信託)による物件取得など、御堂筋周辺も含めた土地・建物の売買事例や、店舗賃料の動向についてもまとめました。

 オフィスビルの推定NOI(純利益)利回りや、賃貸可能床1m2あたりの売買価格など、本誌独自の分析データを四半期に一度のペースで掲載している「売買事例分析」。このコラムでは、売買市場の最新トレンドを浮かび上がらせるべく、毎回、違った切り口による分析や集計を加えています。9月号で着目したのは、アジアの投資家による売買事例です。このところ、シンガポールのREITや香港のファンド運用会社など、アジアの投資家による物件取得が目立っています。記事では2010年の主な売買事例を一覧表にまとめました。ぜひ、ご覧ください。

 売買レポートには、ドイツの不動産投資運用会社のAM alpha(エイエム アルファ)によるルネ青山ビルの取得、ダヴィンチ・アドバイザーズのファンドのトゥモロービル売却など、20事例を掲載しました。オフィス移転・賃料調査は品川区とさいたま市です。大宮駅周辺では成約賃料の下落傾向が続いており、1年間で1~2割下落しているようです。

 本誌ウェブサイトでは、「売買事例地図検索サービス」のベータ版を公開しています。2002年以降に蓄積した約1万件の売買事例と、最近の開発プロジェクトを地図上で検索できます。独自取材によって収集した売買情報も大量に掲載。買い主や売り主の名称で検索すれば、特定プレーヤーの売買履歴も把握できます。詳しくはこちらをご覧ください。

徳永 太郎