「将来の投資機会を創ること。この期待感が不動産価格の上昇を生み、賃料上昇につながる」――。早稲田大学大学院ファイナンス研究科の川口有一郎教授は、本誌1月号に掲載したインタビュー記事のなかで、デフレ脱出の手段としてこのような提案をしています。

 長く続くデフレから脱却するためには、大胆で思い切った施策が必要です。では、どのような施策、投資機会が考えられるのか。川口教授は新たな投資を呼び込む分野、施策として、医療・介護、新首都建設、グリーンニューディールの三つを挙げています。インタビュー記事には、このほかにも「リーマンショック前は『インフレ』であって『バブル』ではなかった」「海外の投資マネーを日本に呼び込むには何が必要か」など、興味深い指摘が飛び出します。ぜひ、お読みください。記事はウェブサイトでも連載する予定です。

 1月号には不動産業向け融資の動向もまとめています。本誌の調べによると、大手銀行は不動産業向け融資を半年間で9860億円(3.3%)減らしました。なかでも新生銀行は半年で2割も削減しています。一方で、国内銀行全体の融資残高は横ばいが続いており、むしろ資金調達環境は回復基調にあります。銀行は不動産融資を増やしたいもののリスク回避の意識が強く、数少ない優良案件に集中しています。融資先の選別が続いているのです。

 1月号では「オフィス移転・賃料調査」をリニューアルしています。内容を「企業移転ニュース」とエリアごとの「賃料動向」に分けました。企業のオフィス移転事例に関してはエリアにこだわらず、生きのいいニュースを掲載していく考えです。賃料動向はこれまで通りエリアごとにまとめますが、対象エリアや掲載頻度を見直して内容をパワーアップさせました。

 売買レポートでは、ラルフローレン表参道店が入居しているビルをオリックス不動産など3社が取得した事例や、ケネディクス不動産投資法人が銀座のビルなど2棟をローンスターから取得した事例など、21の取引を掲載しています。

徳永太郎