本誌2月号では、東京都心部の賃貸オフィス市況の今後について、6人の市場関係者に予測していただきました。その結果、「2011年は都心部の大規模ビルの賃料と稼働率が上昇する一方で、周辺部にあるビルや中小規模のビルは厳しさを増す」という見方が多勢を占めました。

 2011年には企業のオフィス需要が高まり、大規模ビルに関しては明るい見通しが出てきています。しかし、大規模ビルへの移転が進むことで、テナントが流出する中小ビルでは生き残りに向けた競争が激化するとみられています。都心部で大規模ビルの完成が集中する2012年については、需給バランスの悪化を懸念する声もあれば、大きな影響はないとの指摘もあり、市場関係者の見通しは興味深いものとなりました。主要オフィスエリアに関しては、2011年12月末の成約賃料水準も予測してもらっています。

 一方、賃貸マンション市況はどうなっているのでしょうか。このところ、オフィスに比べて賃料水準が安定していることから、賃貸マンションは投資対象としての人気が相対的に高まっています。そこで2月号では、賃貸住宅市場の分析を手がけるリーシング・マネジメント・コンサルティングに2010年の市況を解説してもらいました。

 これによると、東京の賃貸マンションは賃料水準が下落したものの、2009年に比べると下落幅が縮小しています。特徴的なのは「礼金」の下落です。2010年は下落傾向が都心区から周辺区へ波及し、特に築年数が浅いマンションほど礼金の下げ幅が拡大する傾向が出ています。2010年は、募集賃料の季節変動にも新たな傾向が出ていることがわかりました。ぜひ、記事でご確認ください。

 日経不動産マーケット情報は、今年も他誌では読めない売買事例を数多く報道していきます。2月号でもドイツ銀行グループのRREEF(リーフ)による渋谷のビル取得、フランスの大手銀行傘下の投資ファンドによる11物件の取得などの売買事例や、双日や三菱UFJモルガン・スタンレー銀行の本社移転といったスクープ記事を掲載しています。

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徳永太郎