本誌は5月25日、「相次ぐ独ファンドの解散、日本でも1200億円相当の資産売却へ」というニュースをウェブサイトで報道しました。記事には多くのアクセスがあり、市場関係者の関心の高さがうかがえました。7月号では、これらドイツのファンドが保有する日本の物件一覧表を掲載し、動向をさらに詳しく解説しています。

 独ファンドが所有する物件一覧を見ると、東京・天王洲のシティグループセンター、横浜のバーニーズニューヨーク入居ビルなど、ランドマークと言える物件が目に付きます。取得価格ベースで計1200億円に及ぶ物件処分が、日本の不動産市場にもたらすインパクトは無視できません。いま国内ではローンがデフォルトした大型物件の入札が進み、東京電力による不動産売却もこれから目玉物件の処分が本格化します。これまで優良な売り物件が不足していましたが、多様な不動産が市場に出てきています。魅力ある投資機会が続くことで、日本の不動産市場も活性化することでしょう。

 大阪の不動産市場では塩漬けとなっていた土地がかつての半額から数分の1の水準で処分されるなど、底値買いを狙って投資案件を求める動きが活発になっています。この地から一度は撤退した海外ファンドや東京資本の投資会社も、ここへきて再び参入してきました。梅田北ヤードの2013年完成を控えて、賃貸オフィス市況の先行きが懸念されてきましたが、ここへきてオフィス空室の消化が進み、新築ビルのリーシング状況も思ったほど悪くないという見方も出ています。7月号の大阪特集記事で、大阪の不動産売買と開発動向などの最新動向をお伝えしています。

 CASBEE(キャスビー、建築環境総合性能評価システム)に関する記事もあります。CASBEEは建物を省エネ性や耐久性などで評価するしくみですが、内容が複雑なことから不動産分野ではあまり利用されていませんでした。そこで、評価項目を絞り込み、認証費用も抑えた「CASBEE不動産マーケット普及版」が7月に登場します。最新号には普及版の評価シートをそのまま掲載し、高い評価を受けるための条件を解説しました。普及版の登場によって、中小規模ビルや個人オーナービルも、大手不動産会社に伍して環境性能を広くアピールできるかもしれません。CASBEE普及版は不動産分野でも受け入れられるのか。今後に注目です。

 売買レポートには、東京証券取引所に上場した東急不動産のREIT(不動産投資信託)の運用資産をはじめ、銀座4丁目タワー、銀座テアトルビルなどの取引を取り上げています。オフィス移転・賃料調査では新宿区と千葉市の動向をまとめました。

徳永 太郎