丸の内永楽ビルディング、中野セントラルパーク、新宿イーストサイドスクエア、JPタワー……と、大規模オフィスビルの完成が相次いだ2012年。日経不動産マーケット情報のウェブニュース約1400本を対象にアクセス数ランキングをまとめたところ、こうした大規模開発の記事に大きな関心が寄せられていることがわかりました。となれば、2月号に掲載した新生銀行旧本店ビル建て替えに関する当事者インタビューは、皆様の期待に応える記事になったのではないかと思います。

 総事業費が800億円に上るこのプロジェクトは、ケネディクスがビルを落札し、日本政策投資銀行と東急不動産の参加を得て、事業化に向けて動き出しました。「本当に採算に合うのか?」という外野の声にケネディクスはどう答えるのか。計画概要や経緯、想定賃料、期待利回りといった事業の勘所について、本誌の菅健彦編集委員と岡泰子記者が鋭く切り込みました。ウェブサイトでも3回にわたって連載しています。

 不動産市況悪化の大波にのまれたファンド運用業界は、ここにきて雇用情勢にやや薄日が差してきました。ただ市場で求められる人材は、以前とは変化がみられるようです。2月号では、不動産ファンド業界に特化した転職支援会社、MUC(エムユーシー)の梅小路学代表に最新の雇用動向を解説してもらいました。中高年には厳しい話も出てきますが、現実を避けては通れません。ぜひご一読いただければと思います。

 全面リニューアルを行った「オフィス市況トレンド」欄では、前号のオフィス市況予測に続いて、成約賃料調査を掲載しました。これまでエリアごとにばらばらだった調査時期を統一し、東京22エリア、神奈川2エリア、大阪4エリアを四半期ごとに一斉調査します。今回の調査では、東京都内の一部で成約賃料が上昇していることが明らかになりました。一方、横浜と大阪では需給バランスが改善しつつあるものの、賃料水準は横ばいが続いています。2月号以降は、5月号、8月号、11月号に調査結果を掲載していきますので、エリア間比較や市場分析にお役立て下さい。

 このほか2月号では、不動産ファイナンスの動向解説記事も掲載。売買レポートでは、三菱地所の私募REIT(不動産投資信託)による住宅3棟の取得、ゴールドマン・サックスの私募REITのオフィスビル取得、モルガン・スタンレーによる大阪・梅田のビル売却など18事例を載せています。

三上 一大