REITによる不動産売買の状況
REITによる不動産売買の状況

 資金調達環境が厳しさを増すなか、積極的に物件を取得するREIT(不動産投資信託)と、売却を進めるREITとの差が鮮明になってきた。10月にニューシティ・レジデンス投資法人が経営破綻し、特に資金調達面でのREITの苦境が顕在化するなか、日本ビルファンド投資法人(NBF)と野村不動産オフィスファンド投資法人(NOF)の積極的な物件取得が目立っている。むしろこの状況を好機とも捉えている様子だ。NBFは直近の資産運用報告書のなかで、一時の物件取得競争の過熱ぶりが一服し、外部成長のチャンスが高まっているとの認識を示している。

 買うREITがあれば、借入金返済のために資産を売るREIT、売買のないREITもあり、その動きは一様でない。右上の表に、2008年1月から9月の間に発生した各REITの取得と売却の状況、およびその差額を一覧にした。取得超過額が上位のREITは、NBF、NOF、ジャパンリアルエステイト投資法人だ。いずれも資産規模や時価総額で上位にある銘柄であり、下位のREITとの体力差を感じさせる結果となっている。

 一般的に有利子負債、とりわけ短期借入金の比率を下げることは財務の健全性を表す。しかし、各REITの有利子負債の状況を見ると、財閥系を中心とする大型REITは、機動的な短期借り入れを活用して運用資産を増やしたことがわかる。これに対して、一部のREITは借入金返済に追われて物件取得の余力が細っている傾向がみられた。返済期限を前に損失を覚悟で物件を売却する事例も出ており、厳しい状況がうかがえる。

(詳しい記事を、11月20日発行の「日経不動産マーケット情報」2008年12月号の売買事例分析に掲載しています)