ミヤビエステックス(本社:千代田区)は1月29日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請して受理された。負債総額は約205億円だ。マンション分譲を主力とする栄泉不動産(本社:大阪市)も同日、大阪地方裁判所に民事再生の適用を申請した。負債総額は約580億円だ。

 ミヤビエステックスは1986年に設立、1999年からは自社ブランドの「リベール」シリーズのマンション分譲を手がけてきた。その後、東京圏を中心に不動産開発を活発化し、不動産ファンド向けにマンションやオフィスビル、商業施設の建設を進めてきた。2007年10月期には年間売上高199億円、経常利益21億円に達している。

 しかし、不動産市況の悪化から自社物件の売却が進まず、多数の在庫を抱えてキャッシュフローが急激に悪化した。金融機関への借入金の返済やゼネコンへの建設代金の支払いに支障が出る状況となり、スポンサー企業の確保や事業再生プランの作成を急いだものの、キャッシュフローの改善が進まず民事再生の申請を決めた。

 2008年10月期の売上高は前期比36%減の約127億円。棚卸資産の評価損などで約100億1700万円の純損失を計上しており、約55億9700万円の債務超過に陥っていた。今後は、野村不動産アーバンネットなどを仲介として保有物件の売却を進める。物件の買い主との間で施工や資産管理に関して業務提携することで、従業員の雇用を確保しながら事業の再建をめざす考えだ。

 栄泉不動産は1953年、住友生命保険の出資により住友生命ビルディングの名称で設立、東京新橋ビルを取得して賃貸事業をスタートした。1986年に名称を栄泉不動産に変更し、「ロイヤルアーク」シリーズのマンション分譲事業を展開してきた。その後、モルガン・スタンレー・グループの傘下となり、2008年4月には不動産流動化事業に進出した。資産規模を400億円に拡大したうえで、シンガポールなどでREIT(不動産投資信託)を上場する方針を明らかにしていた。

 しかし、金融環境の悪化などで資金繰りが悪化した。民間調査会社などによると、株主への支援を要請したものの実らず、民事再生の申請を決断したもようだ。