主要不動産ファンド運用会社の連結純損益(3期比較、単位は億円)
主要不動産ファンド運用会社の連結純損益(3期比較、単位は億円)
各社の連結売上高、営業利益、純損益
各社の連結売上高、営業利益、純損益

 不動産ファンド運営会社の2008年度決算は、5社がそろって赤字に沈む結果になった。2月13日に、運用資産総額で最大手のダヴィンチ・ホールディングスが179億円の赤字に転落したことを発表。第3位のケネディクスも107億円の赤字に転落し、ともに継続企業の前提に対する疑義があることを明らかにした。

 ダヴィンチは今回、ファンドの保有資産について棚卸資産の評価に関する会計基準(低価法)を適用し、合計505億円の減損を実施した。内訳は販売用不動産が308億円、投資先企業の有価証券が197億円。これらのうち125億円が、同社グループが自己投資として保有するファンド持分に対する減損だ。

 エクイティ総額4000億円、投資総額1兆6000億円をめざしていた新旗艦ファンド「ノービル」については、規模を縮小して2009年3月に運用を開始する。当初のエクイティ総額は約760億円。潮目の変化に応じて投資を拡大できる姿勢を保ちながら、慎重にかつ少額で運用していく。

 ケネディクスに疑義が付いたのは、同社が借り入れたローンのうち312億円が財務制限条項に抵触したため。借入時に取り決めた基準で算定した自己資本の金額が、2008年6月末時点の75%未満に低下した場合、期限の利益を喪失するというものだ。債務の一括弁済を求められる可能性が出てくるが、ケネディクスは当面、一括弁済を求めない旨の確約を銀行団から受けているという。

 2007年までの市場過熱で優良ビル取得が難しくなったファンド運用会社の多くが開発用地の取得に走り、自社のバランスシートを膨らませた。しかし、REITの投資口価格低迷や融資環境の悪化で物件に買い手が付かず、棚卸資産が急増する結果になった。

 運用資産総額で第2位のパシフィックホールディングスは、先に730億円の赤字を計上して債務超過に陥った。2009年1月には、業界7位のクリードが破綻している。

※本文中の金額は1億円未満を切り捨てて表示した。