本誌が2009年4月~6月に集めた売買事例は222件。前年同四半期比で29%減と依然減少は続いているものの、その幅が縮まり、市況に底打ちの兆しが見えてきた。

 物件種類別に見ると、特に大きく減少し続けてきた住宅が、同四半期はマイナス23%と全体平均並みの減少幅に落ち着いてきたこと、店舗の取引件数が前年同四半期比で12%のプラスに転じたことなどが目を引く。また、オフィスビルと土地は、いずれも一貫してマイナスではあるが、そのマイナス幅は常に全体平均よりも小さく、ほかの分野より底堅い需要が感じられる。

 最近の顕著な傾向としては、延べ床面積2000m2未満の小規模オフィスビルの取引が増加していることが挙げられる。2009年4月~6月期には72件中34件と、オフィスビル取引全体の47%にも上った。ファンドや機関投資家の取得が低調となり、数十億から百億円クラスの取引が減るなか、個人も含めて様々な買い主が見込める小規模の物件の流動性の高さが目立つ格好となった。



(詳しい情報を、8月20日発行の「日経不動産マーケット情報」9月号に掲載しています)