■オフィス内に窓が開くエリアを設ける
■米国の環境認証システムであるLEEDの取得を計画
■駐輪場やシャワー室を設けて、入居者のエコ通勤を奨励

 建設地は、鉄道の歴史が刻まれた東京・神田の万世橋のたもと。大正時代に栄えた旧万世橋駅の跡地であり、その後も交通博物館でにぎわった。中央線高架橋の赤れんがアーチが風景の一部となっている。半径500mほどの範囲に、秋葉原駅、神田駅、御茶ノ水駅、淡路町駅など多くの駅が位置する利便性の高い場所である。

 ここに、風が通り抜ける環境配慮型の賃貸オフィスビルができる。地上20階地下2階建て、延べ床面積約2万8000m2の神田万世橋ビル(仮称)だ。スリットなどから外気を取り入れるビルはいくつもあるが、このビルは発想が異なる。オフィスとして使う全16フロアで、基準階の賃貸可能床面積約950m2のうち、建物の東側と西側の合計約10%の範囲に窓の開くエリアを設ける。

風が通り抜けるオフィスのイメージ(資料:東日本旅客鉄道)

 風が通り抜けるエリアをリフレッシュコーナーにするか、役員室にするか、それとも事務室仕様で使うかはテナントの自由だ。通常の事務室とは仕切りを設け、空調は別に管理する。落下防止や雨の吹き込み防止のために、植栽による緩衝帯を設ける予定だ。

 事業主の東日本旅客鉄道(JR東日本)は、計画に先立ちオーストラリアのグリーンビルディングを視察。「ウインターガーデン」と呼ぶ窓の開けられる空間をもつことが、オフィスワーカーの生産性や快適性の向上に寄与し、春や秋の空調負荷の低減にもつながると判断した。「開く窓」はテナント誘致のセールスポイントになるとみている。