■建物の四方に張り出す奥行き1.8mの大庇が日射を防ぐ
■総緑化面積約3000m2。地下1階の広場から地上5階まで緑で覆われる
■建物の断熱・遮熱性能を表す指標が都内主要オフィスビルで1位に

 2013年春、京橋の地に緑豊かなオフィスビルができる。地上24階、地下4階建て、延べ床面積約11万7500m2の建物は、地下1階の広場から地上5階まで緑で覆われる。総緑化面積は約3000m2に上る計画だ。

 「京橋3-1プロジェクト(仮称)」は、かつて中小ビルがひしめいていた2つの街区を1つにまとめた、約8100m2の土地で進行中の再開発プロジェクトだ。京橋駅に直結し、同駅のほか東京、有楽町など5駅24路線が徒歩6分圏内で利用できる。

断熱・遮熱指標が最高値

 豊かな緑とともにこのビルを象徴するのが、建物の四方に張り出す大きな庇だ。奥行きは実に1.8m。この大庇が、高い環境性能に貢献している。窓にはLow-E複層ガラスを用い、太陽光追尾電動ブラインドを備えて、環境性能を高める。こうした工夫によって、建物の断熱・遮熱性能を表すPAL(パル)低減率の値が、都内主要オフィスビルでトップの43.93%となった。

四方に張り出す大庇が特徴の京橋3-1プロジェクトの完成予想(資料:東京建物)

 建物の熱負荷を軽減するには、窓ガラス面を極力少なくする方法もある。しかし賃貸ビルでは、眺望も重要な商品価値の一つだ。このビルは、オフィスフロアの床から天井までの高さ2.8mに対して、窓の高さが2.5mと開口部が大きい。庇には眺望を損なわない利点もあった。室内から外を眺めると、深い庇によって額縁の中の景色を見るような具合になるという。

 都市再生特別地区に指定され、国土交通省の民間都市再生事業計画、および住宅・建築物省CO2先導事業にも認定されているこのプロジェクトには、ほかにもさまざまな環境対策が盛り込まれた。ボイドを利用した自然換気や人感センサーをはじめとする各種の照明の制御システムなどだ。試算では、運営段階の1m2あたりの年間温室効果ガス排出量は65kg。東京都が公表している賃貸オフィスビルの平均値107kgと比べて39%少ない。