2011年以降に竣工を予定している東京都内の大規模オフィスビルは、2010年までに竣工したビルと比べて、建物の断熱性や省エネ効率などの環境性能が高い傾向にあることがデータで裏付けられた。ここ数年の間に、環境性能への関心が特に高まったことが理由とみられる。

PAL低減率とERRの分布
2011年以降に竣工予定のビルを赤で表示した。赤い印は右上のゾーンを中心に分布しており、環境性能が高いものが多い。破線は平均値

 2002年以降に計画された東京都区部のオフィスビルを対象に、建物の断熱・遮熱性能を表すPAL(パル、Perimeter Annual Load)と、設備の省エネ効率を表すERR(イーアールアール、Energy Reduction Ratio)を集計した。

 PALは建物の断熱・遮熱性能を単位面積当たりの熱負荷で示す指標。基準値に対してどれだけ熱負荷を低減したかを表すのがPAL低減率だ。一方、ERRは設備の省エネ効率を基準値からの低減率で示す東京都の独自指標だ。PAL低減率、ERRともに値が大きいほど建物の環境性能が高い。いずれも、建物の設計段階の環境性能を示す指標として知られている。

 集計の対象は、東京都の「建築物環境計画書制度」で公表されているオフィスビル223物件(6月20日時点)。工事が完了したものと計画段階のものがあるが、ここでは双方を対象とした。223物件の平均値は、PAL低減率が20%、ERRが27%だった。

 PAL低減率を横軸に、ERRを縦軸にとり、全223物件をプロットしたのが上の図だ。2011年以降の竣工物件を赤色で示した。これらは、PAL低減率、ERRともに高い右上のゾーンを中心に分布し、左下のゾーンには少ない。2010年までの竣工物件と比べて、環境性能が高くなっていることがわかる。

 2011年に完成する物件では、ソニーの新社屋となる大崎西テクノロジーセンターや飯野ビルディングなどが、優れた環境性能を示している。2012年にはJPタワー、神田万世橋ビル、渋谷ヒカリエ、2013年には京橋3-1プロジェクトといった環境ビルが誕生する予定だ。