欧州を代表する年金基金など、世界の20以上の団体で構成するGRESBが実施した不動産事業者の環境対応に関する国際的な調査で、アジア地域の上場企業として日本プライムリアルティ投資法人(JPR)が3位、ケネディクス不動産投資法人が4位に選ばれた。私募ファンドでは、MGPAのジャパン・コア・プラス・ファンドがアジア地域の5位に入った。

 GRESBはグローバル・リアル・エステート・サステナビリティー・ベンチマーク(Global Real Estate Sustainability Benchmark)の略。調査主体のグループもGRESBを名乗り、合計で約1兆7000億ドル(約130兆円)の運用資産残高を有する。欧州の年金基金のアセットマネジャーであるAPG、PGGM、USSが創設し、オランダのマーストリヒト大学が調査に協力している。不動産が長期にわたって安定した収益を上げるために、サステナビリティー(持続可能性)の取り組みが重要だと位置付け、ベンチマークを利用していく考えだ。

 調査はサステナビリティーに関する運用方針と、実際の取り組みや計測実績の大きく2分野で構成されている。特に、エネルギー消費量などを計測することに重きを置いた。なかには、環境に関する実績が特別報酬の支払いに関連するか、環境性能の評価・認証を受けている保有物件がどれくらいあるかといった質問もある。不動産事業者を上場企業と私募ファンドに分け、総合点によって順位を付けた。

 世界を地域別に見ると、オーストラリアの事業者の点数が最も高く、アジアは低い。この理由について、日本での調査を担当したCSRデザイン環境投資顧問の堀江隆一社長は、「日本の企業やファンドは、実際には取り組んでいるのにポリシーとして定めていなかったり、情報発信がなされていなかったり、損をしている部分がある」と話している。

 世界全体では340者(上場企業69、私募ファンド271)が調査に協力した。このうち、アジア地域からの参加は49者(上場企業12、私募ファンド37)。日本からは20者(上場企業5、私募ファンド15)が参加した。調査は今回が2回目で、毎年、実施する予定だ。