シティバンク銀行のLEED戦略

――LEED認証の取得目的と、今後の計画が知りたい。

 シティバンク銀行は2015年までに、全世界の施設の15%でLEED認証を取得する目標を掲げている。この戦略に沿って、日本でも新たに出店する際にはLEED認証を取得することを決めている。既に取得した支店も含めて、日本では32支店中8支店でLEED認証を取得する計画が進行中だ。具体には、神戸支店と池袋支店を申請する。新宿で新たに出店を予定している支店でも認証を取得する計画だ。

――LEEDの認証取得は企業の競争力アップにつながっているか。

 競争力アップが目的というより、環境を大事にする企業の姿勢が根底にある。シティバンク銀行については「米国で最もグリーンな銀行」という評価もある。顧客が「環境重視の企業」という基準で評価すれば、シティバンクが選ばれることになる。

 照明にしても空調にしても、LEEDのビルにいる従業員はよい環境で働ける。LEEDのビルはエネルギーコストも削減できる。それも一つの競争力だ。ちなみに、東日本大震災後、普通の支店は節電効果が大きく表れたが、LEEDを取得していた支店ではあまり違いが出なかった。すでに大幅な省エネが進んでいたからだ。

――認証を得るまでには相当な費用がかかると聞いている。

 認証のための費用が、ものすごくかかっているという認識はない。確かに第1号のときはかかったかもしれないが、繰り返すうちに費用のかからないやり方がわかってきた。今は工事総額の1~2%くらいだ。

 それに、新築のビルに入居する場合と既存の支店を改修する場合では条件が異なる。既存の支店の改修では時間もお金もかかるので、LEEDは目指していない。

――支店を開設する際、ビル選びで心がけていることは?

 なるべく、内装のないスケルトン状態で借りるようにしている。日本の標準内装の照明は、器具が多すぎてLEEDに適さない。内装が施されたビルは撤去にお金がかかるし、そもそも廃棄するのがもったいない。ビルを退居するときに内装を元に戻さなくてはいけないという慣行も、無駄なことだと思う。


■シティバンク銀行新宿東口支店(1階~4階)の概要
所在地:東京都新宿区新宿3-19-4
内装設計・施工:乃村工藝社
LEED認証コンサルタント:
イー・アール・エム日本
オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズ・ジャパン