高齢者向けの住宅や有料老人ホーム、病院などのヘルスケア施設について、供給促進のための不動産証券化手法を検討する国土交通省の委員会は3月6日、課題や方向性をまとめた報告書案を発表。ヘルスケア施設を投資対象としたREIT(不動産投資信託)創設のメリットとして、資金調達が多様化することや、利用者にとって質の高い施設の供給につながる可能性があることを記した。

 ヘルスケア施設はオペレーショナルアセットと呼ばれ、一般的なオフィスビルや集合住宅と比べて専門的な運営ノウハウが必要とされる。特有のリスクもあることから、日本ではまだ主要な投資対象とはみなされていない。報告書はREITが注意すべき事項として、オペレーターの財務状況、施設の事業収支、物件内容などについて情報を入手することの必要性を説いた。

 一方で、一口にヘルスケア施設といっても、高齢者向け住宅・老人ホームと病院では、取り巻く環境や関係者の受け止め方に大きな違いがあることも明らかになった。高齢者向けの住宅や有料老人ホームの供給促進の面では今回の議論が一定の役割を果たしたものの、老朽化した病院の建て替えに関しては明確な方向性が示されず、「今後の課題」と指摘する委員もいた。

 報告書が示した方向性のなかにはREITやファンドがすでに取り組んでいることも多いが、委員会開催による最大の成果は、投資家や金融・不動産関係者、医療・介護関係者などを同じ場に集め、不動産証券化やREITについて共通の認識を持ったことにある。委員会に対する関心は高く、計4回の会合には傍聴者や報道関係者なども含めて毎回、100人以上が集まった。

 委員として参加した一般社団法人不動産証券化協会の市井達夫事務局長は、「投資というと悪いイメージがあることを知ってショックを受けた。将来はREITが持っていると安心だと言われるようになりたい」と感想を述べた。

 ヘルスケアREITの方向性の要旨は次ページの通りだ。

(注)委員会の名称は、「ヘルスケア施設供給促進のための不動産証券化手法の活用及び安定利用の確保に関する検討委員会」(座長:川北英隆・京都大学大学院経営管理研究部教授)