格付けの結果に加えて、その根拠も点数で示される新しい建物環境評価システム「CASBEE不動産マーケット普及版」(以下、CASBEE普及版)。省エネ性能のほか、耐震・免震、自然災害リスク、自然換気性能など、およそ20の評価項目がある。日経不動産マーケット情報は、先行的に認証を受けたオフィスビル38物件のデータを集計し、どのビルがどんな評価項目で点を獲得したのかを検証した。その結果、古いビルでも高い評価を受けられることがわかった。

 CASBEE普及版の認証ランクは点数で決まる。評価はエネルギーや水、屋内環境など5分野17項目で101点満点だ。ほかに必須の項目があり、この条件を満たせないビルは認証を取得できない。格付けはS、A、B+、B-、Cの5段階で、78点以上なら最高のSランク、66点以上なら2番目のAランクとなる。

■CASBEE普及版の評価分野と配点

 以下に38物件の点数と竣工年の関係を示した。先行認証では、評価がSとAに集中した。いずれも、優れたビルのお墨付きを得たことになる。竣工後の経過年数は平均で17年。築30年以上のビルが7物件含まれている。1982年竣工(築31年)の物産ビルが79.0点でSランクを獲得したほか、虎ノ門36森ビル(1981年竣工)はSまであと一歩の77. 4点、築40年のザイマックス溜池山王ビル(1973年竣工)は75.6点を獲得するなど、築年数が経過したビルの健闘ぶりが目立った。

■先行認証を受けた38物件の竣工年と点数

 下は、38物件の評価結果を点数順に並べた一覧だ。点数とランクに加えて、評価項目ごとの点数を記した。この一覧から、各ビルがどの評価項目で得点を稼いでいるのかがわかる。

■先行認証を受けた38物件の一覧(点数順)

 集計結果から読み取れたことのなかから、一部を紹介する。

▼「加点」は、ビルオーナーとテナントが協働して運用エネルギー削減に取り組む場合に1点が加わる特別な項目だ。加点されたのは21物件。申請者別では、森トラストが5/5、森ビルが4/8、ケネディクス不動産投資法人が3/4と多かった。
▼エネルギー・温暖化ガスの「使用・排出原単位(計算値)」の配点は25点と評価項目中で最も高い。満点は6物件。築30年以上のなかでは、虎ノ門35森ビルと物産ビルが最高点だ。
▼「水使用量」の評価点はビルによる差が大きい。計算値と実績値を合わせて、最高の10点を獲得したビルは7物件だった。
▼「主要設備機器の更新必要間隔/設備の自給率向上/維持管理」に注目してみると、竹中工務店東京本店の点数が4.9でひときわ高い。評価シートをたどると、設備の自給率向上や維持管理の取り組みを積み重ねて、ポイントを稼いでいた。
▼生物多様性/敷地利用の分野を構成する評価項目は「生物多様性の向上」「土壌環境品質・ブラウンフィールド再生」「公共交通機関の接近性」「自然災害リスク対策」の四つ。この分野で満点の20点を獲得した7物件のうち、六本木ヒルズ森タワーをはじめ、森ビルが申請したビルが4物件を占めた。
▼「公共交通機関の接近性」では、1物件を除き、37物件が最高点だ。
▼「自然災害リスク対策」は、確認・対処すべき自然災害として水害、液状化、津波、地震動、斜面災害、落雷の6項目を掲げている。評価が1点と最も低い「災害情報の未確認、リスク5種以上」のビルはないが、2点の「リスク4種以下、特段の防災対策未実施」のビルは10物件ある。
▼屋内環境の分野では、「昼光利用」「自然換気性能」「眺望」の3項目が対象だ。竣工年別の集計では、総じて新しいビルの点数が高い。天井高や窓の開口率など、ビルの構造に関係した評価項目が多いので、古いビルがこの分野で得点を伸ばすのは難しい。

 関連記事を日経不動産マーケット情報2013年10月号に掲載した。また、38物件の評価データ(エクセル形式)と詳細な分析レポートをCD-ROMに収録した商品「CASBEE不動産マーケット普及版 分析レポート・データ集2013」を販売する。

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2013年9月27日発行