日本不動産研究所は香港、シンガポール、ジャカルタ、バンコク、ホーチミンなどアジア主要都市でデータを収集・分析し、「国際不動産価格賃料指数」として12月11日に発表した。オフィスビルとマンションについて、鑑定価格や賃料水準を主要都市間で比較したり、都市ごとに価格や賃料の経年変化を比べたりすることができる。これに伴って、海外不動産投資のコンサルティングサービスを拡充する。

 オフィスビル価格(床単価)の都市間比較のグラフを見ると、バンコク7.4、ホーチミン10.8、クアラルンプール11.4となっており、東京の100に対して低い水準にあることがわかる。価格は都心部に位置する最上位のオフィスビルを想定したもので、賃料水準も同じように比較できる。

(資料:日本不動産研究所)

 対前年のオフィスの価格や賃料は、ジャカルタの上昇率が他都市に比べて最も高い。マンションはホーチミンで価格・賃料ともに下落し続けており、投資リスクが大きかった傾向が読み取れる。

 調査は、オフィスとマンションについて各都市でそれぞれ3物件のモデルを設定。新築または新規契約した場合の1m2あたりの10月1日時点の価格・賃料を評価して指数化した。日本不動産研究所の不動産鑑定士が現地で情報収集し、国によって異なる面積の定義を日本流に統一するなど、同じ基準で評価したことが特徴だ。

 日本不動産研究所は日本企業の海外進出が加速するとみており、日本にいながら海外の不動産を比較できる情報の整備を進めてきた。将来はニューヨークやロンドンなど欧米の主要都市も調査対象に加える計画だ。年に1~2回、結果を公表していく。

 国際不動産価格賃料指数の概要版は、日本不動産研究所のウェブサイトで見られる。平均NOI(純収益)利回りと国債利回りとの比較など、詳細情報は有料で提供する。

<詳細情報の内容>
■オフィス
・価格指数・賃料指数
・平均NOI利回りと国債利回りとの比較
・オフィス・リターン分析(インカム・キャピタル・トータルリターン分析)
・都心地区最上位オフィスの価格・賃料水準比較 など
■マンション
・価格指数・賃料指数
・平均NOI利回りと国債利回りとの比較
・マンション・リターン分析(インカム・キャピタル・トータルリターン分析)
・高級住宅(ハイエンドクラス)の価格・賃料水準比較
・マンション価格賃料指数と各国消費者物価指数との比較 など