不動産投資を始めるとしたら何から始めればいいのか、どんなリスクが潜んでいるのか、そもそも不動産で大もうけできるのか――。10月14日に発行した書籍『不動産力を磨く』(日経BP社)のコンテンツのなかから、ニッセイ基礎研究所 不動産投資チームの座談会を3回に分けてお届けする。

松村 普通の人が不動産投資を始めるとしたら、どういうものがいいと思いますか。

岩佐浩人 主任研究員
(写真:清水盟貴)

岩佐 普段リートの分析をしているという立場もありますが、やはりリートはマーケットや商品の仕組みがちゃんとしているので、初心者向きではないかと思います。

増宮 確かに、普通の人が投資するとしたらリートが一番適していると思います。ただ、リートを買う場合でも、リートが保有している個別の物件情報やリート市場の動きを、ある程度は押さえておきたいです。個別の物件に関するニュースで、リートの価格が大幅に上下することもよくありますから。

加藤 リートの良い面の一つに、たくさんの物件を保有してリスク分散が効いているということがあります。オフィス、マンション、商業施設、物流施設など専門に運用している銘柄があれば、オフィスやマンションなどを組み合わせて運用している銘柄もある。複数のリートに投資する投資信託なら、さらにリスクが分散されます。

松村 私も、普通の人が初めて不動産投資をやってみるならリートをお薦めします。

加藤 実物不動産投資の場合、立地の異なる複数のワンルームマンションに投資しているのならまだいいですが、1物件だけだと、その部屋で事件や事故が起きてしまうと当分賃料が入ってこなくなるリスクがあります。

松村 だから、アパート一棟を買いなさいという本がありますよ。

加藤 個別物件に起こりうるリスクを分散投資で低減する効果がリートにはある。実物投資よりリスクが小さい分、リートの方が利回りは低いかというとそうともいえない。というか、将来の売却損益まで加味した総合利回りで比較した事例をみたことがないという方が正確ですが。