南仏カンヌで現地時間の3月10日、第26回を迎える不動産コンファレンス、MIPIM(ミピム)が開幕した。不動産業界の景気バロメーターともいえる参加者数は、事前登録者だけで2万1000人。好景気を反映して昨年を上回ることが確実になった。もちろん金融危機後で最高の水準だ。日本人参加者も過去最多を記録する見込みとなっている。

MIPIMの会場となった海辺のPalais Des Festivals(パレ・デ・フェスティバル)。5月に開かれるカンヌ国際映画祭の舞台でもある

日本の話題がオープニングを飾る

 東京では今年5月20日から21日にかけて、姉妹イベントのMIPIM JAPANが国土交通省の全面的なバックアップの下で開かれる。そのため、ここカンヌでも日本関連のイベントが大きくフィーチャーされている。

 公式、非公式を含めて100を超えるプログラムが予定されるなか、オープニングを飾ったのは朝食イベントのBreakfast on Japanだ。GE Capital Real Estateの東京オフィスでマネジングディレクターを務めるPaul Watkinson(ポール・ワトキンソン)氏の解説に続き、同氏を含む5人のスピーカーがディスカッションした。

4日間のイベントは朝8時30分のBreakfast on Japanで幕を開けた

 つい先ごろ、大阪・道頓堀の商業施設を取得した香港Dynasty Holding Internationalのマネジングパートナー、Patrick Wu(パトリック・ウー)氏はアジア圏からの観光客の爆発的な増加に注目。「シニアデット、メザニンデットも最高に調達しやすい環境だ」と、対日投資の理由を説明した。

 伊保険大手Generali(ジェネラリ)の不動産部門でリサーチ責任者を務めるJacques Plas(ジャック・プラス)氏は、「OECD諸国に投資する我が社の戦略において、アジアで選択できるのは日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドだけ」と語った。同氏はアベノミクス自体には慎重な見方を示しつつも、分散投資の観点から長期的に日本を重視していく考えを示した。

 三菱商事の子会社であるダイヤモンド・リアルティ・マネジメントからは、辻貴史社長が登壇。マレーシア政府系ファンドなどの機関投資家と取り組む日本国内での物流投資を紹介した。

 前日の9日朝にはロンドンで、対日投資家向けのイベントがMIPIMのプログラムの一環として開催された。

 建造キャピタルのLeonard Meyer(レオナード・マイヤー)社長が司会を務め、国交省の石井喜三郎審議官と、三井不動産の冨川秀二執行役員(4月から三井不動産投資顧問社長)、そして出張先のハワイからビデオ会議で参加したJPモルガン証券のJesper Koll(イェスパー・コール)マネジングディレクターが議論を交わした。同様の会議は、ここカンヌでも12日に開かれる予定だ。

 今年のMIPIMでは、「Digital REvolution」と題してIT革命と不動産をテーマにしたセッションが複数開催されるほか、スマートシティ関連のセッションや展示も数多く予定されている。日経不動産マーケット情報はウェブ、Twitter、月刊誌(5月号)で4日間にわたる会議の詳細を随時伝えていく。

MIPIM会場で配られた冊子の表紙。日本への関心は高い

本間 純=仏カンヌ