国内景気は、個人消費が底堅く、企業の生産活動も持ち直している。2012年度実質GDP成長率を2.3%の見込みだ。住宅着工やマンションの新規発売戸数、中古成約件数も引き続き堅調に推移する。地価は下落傾向を弱め、底値圏にある。東京オフィス市場は、優良ビルで賃料底打ちの兆しが強まってきた。大規模ビルの竣工ラッシュはピークを過ぎつつあるなか、新築Aクラスビルは企業の危機管理や省エネに対するニーズの強まりに対応できるために既存ビルに対して非常に優位なうえ、賃料の割安感も大きい。このため、2012年下半期~2013年上半期に市況回復をリードするだろう。東京都区部のマンション賃料は、上昇傾向だったファイミリータイプが下落に転じ、すべてのタイプが弱含みで推移している。ホテル稼働率は震災前水準に戻った。大型物流施設は需給が逼迫、東京では賃料の底打ちも指摘されている。東証REIT指数は2012年第2四半期、欧州財政問題の解決期待などから大幅に上昇した前期の反動もあって下落した。ただし、物件取得額は新規上場2社の寄与が大きく、リーマンショック前の2008年第1四半期以来の高水準となった。私募ファンドの資金調達環境は改善し、新規組成が増加するなか、大型物件の売買や大型投資案件の借り換えもあり、不動産投資市場は堅調に推移している。