2012年第1四半期のアジア太平洋地域の投資取引額は対前期比-36%の246億米ドルと減少した。2011年末に投資家心理が弱含み、2012年第1四半期に影響を与えたためだ。タイと香港を除くすべての地域で前期より減少した。ただし地域間投資は急増、前期の4億米ドルから今期は19億米ドルに達している。この額は2011年の年間地域間取引額の70%に相当する。クロスボーダー資金の行き先トップは中国だ。ファンドが中国への投資を拡大させている。セクター別では、今期に唯一投資額が増加したのがリテールだった。中国とシンガポールが最も大きく増加、次いでオーストラリアと日本も増加した。世界経済の不確実性によってオフィスが伸び悩むなか、アジアの消費者購買力の高まりが投資家のリテールへの信頼を支えている。優良な投資対象物件の売却が不足し、投資の主流が優良物件から価格の低い非優良物件へ移行、1物件あたりの平均取引額も低下した。静かな1年の始まりとなったが、アジア太平洋は他地域に比べて堅調な成長が見込まれるため、依然として魅力的な投資先だ。世界的な不確実性がシンガポールやオーストラリアなどに影響を与え始め、インドや中国などでは高金利が融資や投資を抑制している。しかし、いくつかの市場の落ち込みは日本市場への関心の高まりによって相殺されるだろう。2012年の取引総額は対前年比-9%の1400億米ドルで、2013年は上昇に転じると予想する。