2012年第2四半期のアジア太平洋地域の商業不動産取引額は対前期比+0.3%の274億米ドルに横ばいで推移した。地域別では、中国が同-22%と一層減速する一方、オーストラリア、日本、シンガポールは若干上昇している。クロスボーダー取引は増加しており、取引総額に占める割合は15%超と世界金融危機以来最高となった。オーストラリアが特に人気で、18億米ドルと地域内で最大だ。タイも日本の投資家を引き付けている。タイ経済は回復基調であり、この傾向は今後も続くだろう。セクター別では、オフィスとリテールの投資額が増加した。オフィスへの投資額は1 件の大型取引、オーストラリアのCharter Hall REIT の私有化(非上場化)が押し上げた。リテールへの投資継続は、アジア太平洋地域の消費購買力に対する変わらぬ信頼の表れといえる。投資家の警戒感と大型の売却物件の不足を反映し、平均取引額は3900万米ドルとさらに縮小した。取引の65%が2000万米ドル未満となっている。経済の不確実性、特に中国経済の行方に対する懸念から、投資家心理は依然慎重だ。2012年後半、中国の取引額は緩やかな上昇が見込まれるものの、市場好転には及ばないだろう。2012年の取引額は、対前年比-16%の1300億米ドルと予想する。