「18年近い小誌の歴史のなかで、物流の記事がPVの月間トップを飾った例は記憶にありません」。ちょうど1年前の当コラムでこのように書きましたが、物流施設の開発・投資はその後さらに勢いを増しています。日経不動産マーケット情報2021年2月号の特集「2020年の売買事例分析」によると、物流施設の売買は金額ベースでオフィスに次ぐ第2位の座を占めました。物流施設に投資するおなじみのREITをはじめ、ブラックストーン・グループやアクサ・インベストメント・マネージャーズといった外資による大型投資も目立ちます。外資は住宅ポートフォリオの取得にも積極的で、コロナ禍による影響が比較的軽微な住宅セクターは引き続き好調を維持しています。特集では大型取引のまとめや、REITによる売買の推移、オフィスビルの取引単価・利回りなど、多面的に市場を分析しています。ぜひご覧ください。

 四半期ごとに実施しているオフィスビル成約賃料調査の結果も、2月号に掲載しています。東京、神奈川、大阪のビジネス地区28エリアが対象ですが、今回は東京・神奈川の9エリアで賃料の下落傾向が確認されました。足元では、全国の大都市圏で2度目の緊急事態宣言が出され、出社率の抑制が求められるなど、賃貸オフィスをめぐる事業環境は芳しくありません。先月号に掲載した、不動産アナリスト20人によるオフィス市況予測でも、今年前半はさらに市況が悪化する見通し。留意が必要な情勢です。28エリアの成約水準をまとめたグラフは2月号のほか、ウェブサイトにも掲載します。

 昨年12月、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(賃貸住宅管理適正化法)の一部が施行されました。昨今のサブリースをめぐるトラブルから、主に個人オーナーを守るためのものですが、REITや不動産ファンドの運用に影響を与える可能性があるといいます。2月号では、その注意すべきポイントを、森・濱田松本法律事務所の佐伯優仁弁護士にインタビュー形式で解説してもらいましたので、ご一読ください。

 売買レポートは、前出のアクサが900億円超で住宅とデータセンターを取得した事例や、エイベックスが720億円で外資に売却した本社ビル、ブラックストーンが1100億円で取得した不動産ポートフォリオなど、記事25本を収録。これらを含む取引事例113件を一覧表にまとめています。

 なお、2002年の創刊以来の取引データは「ディールサーチ」で提供しています。REITの運用実績データなども収録していますので、トラックレコードをお探しの際はぜひ利用をご検討ください。

三上 一大